押井守の15年以上の構想「ガルム・ウォーズ」を観てきました【感想・レビュー】

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カミキユキ(@KamikiYuki)です。
調べるまで全然気付かなかったのです、この作品。
甲殻機動隊やパトレイバーを手がけた押井守監督最新作

「ガルム・ウォーズ」を観てきましたので紹介します。

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戦いの星アンヌンの創造主ダナンは、死んだ個体の記憶を複製した別個体に転写できるクローン戦士・ガルムを作り上げる。ガルムと彼らから崇められる犬のグラ、そして鳥が生息するアンヌンだが、そこからダナンが去ったことで三つの部族が星の覇権をめぐって争うようになる。そんな中、空の部族コルンバのカラ(メラニー・サンピエール)、陸の部族ブリガのスケリグ(ケヴィン・デュランド)、情報操作が得意な部族クムタクのウィド(ランス・ヘンリクセン)が運命的な出会いを果たし、ガルムの秘密をめぐる旅に出るが……。

- シネマトゥデイ -

 押井守監督最新作

「攻殻機動隊」「THE NEXT GENERATION パトレイバー」シリーズなどを手がけた押井守が、構想15年にも及ぶ企画を自らの手で実写化したSF。

本作は1990年代後半に「G.R.M.」(ガルム戦記)として企画されていた作品が前身。アニメと実写の融合を試みた意欲的作品で総製作費は60億円とも80億円とも噂されましたが、1999年に製作凍結が決定。しかし、押井監督は決して作品を諦めず、とうとうその執念が結実、2014年に北米で公開され、そして今、日本公開にこぎつけました

- GIGAZINE -

アニメと実写の融合を違和感なく馴染ませるというのが一つの革新です。
実写にCG合成はよくある話になってきていますが、これを聞く限りや予告編の映像を観る限り、むしろアニメよりに馴染ませている感じがします。
アニメにモーションキャプチャーでトレースした3Dモデルを動かすというのも既に普及した技術で、それとも違い実際に人を使っているということでしょう。

というのは当時考えた革新。
今となってはどこでもできる技術。
しかし押井監督はそれを日本人が完結出来るかを目標にしたようです。

そんな作品なのでキャストをそのまま日本人構想の日本人起用はいくらファンでも容認出来ない。それでカナダと日本の共同製作日本人スタッフは7人
テレビの情報を集めてないのでなんとも言えないけど、そこまで情報が出ていたとは思えないです。

実写版パトレイバーTHE NEXT GENERATION パトレイバー
CGのイングラムを使うなら実写の意味はない、としてフルスケールのイングラムを製作して撮影したことなど作品毎に挑戦するこだわりを感じられます。

音楽はパトレイバーから引き続き、川井憲次
情報なしでも曲を聴いただけで分かる川井節
この曲調は忘れられないよね。

日本で公開されているものはほぼ吹替版のみ。
ぼくの観に行ける圏内も吹替版のみの公開でした。

作られた人々が自身の起源を巡る旅

本作の大筋はダナンと呼ばれる神に作られたガルム
彼らはダナンが星から去ったあと部族間戦争をしていました。 
しかし、ある時生き残っていた部族からそれぞれカラ、スケリグ、ウィドと神の声を伝えるドルイド族ナシャン運命的に部族の群れから孤立し集まります
ガルムの起源を知る巡礼の旅がはじまる、といった流れ。
そこから起源の真実を知るまでの物語

ガルムたちは死んでも新たな肉体に記憶を転写して何世代も生き続けている。
しかし群れからはぐれたり、部族の転写技術が使えなくなったら次第に減っていき絶滅するといった構造をしている。
更には彼らはマナと呼ばれるエネルギーなしでは生きられない。
つまり先の群れからはぐれるはかなり致命的

またガルムの住む星はガルム以外には犬や鳥しかいません。
犬や鳥はガルムたちからは神聖視されています。
そして彼らに触れられたガルムはいくら他部族だからとて殺してはいけない、という取り決めがガルム共通のルールとなっているのです。

日本人にファンタジー映画は作れるのか

確かに実写映画でした。
これは日本人をキャスティングしたらダメだなってのはよく分かりました。
マイティ・ソーみたいな世界観ならあるいは...まぁ設定はファンタジーなんだけどね。

撮影と加工に関してはどこか現実味を感じない光の使い方
これがうまくリアルからの乖離感や、実写とCGをうまく馴染ませているように感じられました。
ところどころ押井監督作品を思わせるアングルだったり、
カットを感じるのはぼくは違和感を感じるからなのか。
実写映画というよりアニメにリアルな人間持って来たと捉えるといいかも。
実際、ぼくはその感覚で鑑賞しました。
とにかく、海外作品の映像とは違う雰囲気を感じさせる作品でした。

気になるのは終盤のガルムの真実を語るキャラクターのセリフが
聞き取りづらくて聞き取りづらくて...
ある程度考察してみたんですけど、あのシーンのセリフなしでは記事で語りたくないなぁとばかり思っています。

総評的には万人受けはしない

特にストーリー重視の人にはいくら話の大筋を達成出来たとはいえ消化不良
固有名詞が多く出てくるので理解が追いつかずに頭を抱える人もいるでしょう。
まぁガルム戦記よりずっと設定を心待ちにしている人
押井守ファンは欠かせない作品になっていることでしょう。
ぼくは純粋に映画化にこぎつけた経緯と映像美・音楽に感動した次第です。

ちなみにぼくも結構ストーリー重視の人間です。