カエル男怪演!「ミュージアム」を観てきました【感想・レビュー】

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カミキユキ(@KamikiYuki)です。
今月はじめての映画ですね、先週は観たいのなかったので
引きこもってゲームしてました。
彼と同世代でしたが、親のスネはかじってません。

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現場に謎のメモが残される猟奇殺人事件が矢継ぎ早に発生するが、その事件は雨が降る日のみ起こっていた。一連の事件の関連性を察知した沢村久志刑事(小栗旬)は、自分の妻子が狙われていることを知る。やがて、カエルのマスクをかぶったカエル男の存在が浮かび上がり、犯人に近づいていく沢村だったが、カエル男の仕組んだわなにはめられ窮地に陥り……。

- シネマトゥデイ -

るろうに剣心大友啓史
原作は巴亮介ヤングマガジンで連載されていた同タイトル
予告編結構見せてますね。

小栗旬主演作ということで最近はマンガ原作作品に多数出演されていますね。
テラフォーマーズしかり、信長協奏曲しかり。
テラフォーマーズは原作すら興味なかったし、予告編からもあまり期待してなかったのでスルーしてるし、信長協奏曲はドラマもあったし土台がしっかりしてる分大丈夫だろうと思ってたんですがこっちも原作未読なので知らなかったり。
そんな感じなのでこれも出たかったのかな、と思ったらパンフには載ってなかったです。むしろカエル男(の中)の方は原作読んでたみたいですけど。

沢村久志(小栗旬)

警視庁捜査一課一係巡査部長
猟奇殺人事件と容疑者のカエル男を追う。

沢村遥(尾野真千子)

久志の妻
仕事人間の久志に嫌気がさし、息子と共に出て行く。
ある理由でカエル男のターゲットの一人となる。

西野純一(野村周平)

久志の後輩刑事で久志になついている。
遺体になれず、殺害現場を見ると嘔吐する。
弱々しいながらも芯が強い。

カエル男(妻夫木聡)

本名は劇中に登場するので伏せておく。
自らを表現者と名乗り、雨の日に犯行を行う猟奇殺人者
犯行の現場には〜の刑と書いたメッセージを残す。

 

他、先輩刑事の関端浩三役に松重豊、捜査一課課長の岡部利夫役に伊武雅刀、遥の親友の秋山佳代役に田畑智子大学医療センター女医の橘幹絵役シン・ゴジラでヒロインと呼ばれるまでに話題をさらった市川実日子が演じます。

 

気になるのは原作を読んでいないぼくでも
カエル男はカエルのマスクしてるんだから、キャストは伏せて欲しかったなーと思ってしまうんですよね。あっさり公式でバラしてしまうもんですから残念でした。

それでも怖いだろうな、と何も知らずに観に来たぼくは
ある種鑑賞する準備が出来ていたでしょう。
では、感想にいってみます。

 

 

 

 

息をつかせない恐怖の期待感、カエル男の表現力を見よ

終始緊張感のあって息もつかせない展開でした。
連続殺人事件ながら、焦点は沢村一家が中心で自己投影出来ない程の発想力で事件を追って行く沢村刑事に感情移入しつつ中盤もしかするともしかするだろ...とか思いながらそういう展開かよ!と期待感を持たせてくれる流れでした。

歌いながらのハンバーガーのシーンでもしかしてって思ったし
気付いた時の沢村=小栗旬よぎった表情なんかはなんて顔するんだろうと思わせてくれたものでした。こう思わせたらどんな結末でも期待する他ないじゃないですか。
どうやらここのシーンの為に実際に缶詰状態になっていたとか。
ハンバーガー食べるシーンなんてホントに食べたいと思うほどの心境で貪っていたそうですね。

カエル男妻夫木聡も気味の悪いサイコパスをよく演じました。
渇き。では裏の読めない悪徳刑事で悪意に溢れていました。

怒りではゲイの男を身体を張って演じ、ラストは涙もの。

妻夫木聡は結構役になりきるタイプで、怒りでも相手役の綾野剛と同棲したそうです。映画同様何も前触れもなく部屋を去ったとも聞いています。
今回はサイコパスの役だったので色々カエル男なりの筋を考えたようですが、最終的に理解することは難しいので結局形から入り、とりあえずマスクを被ってみたとか。

声色違ってたので本当にバラさなくて良かったのでは。

 

 

犯行日がそうなのでほとんどのシーンが雨で
薄暗くジメジメした画は鬱屈とした気持ちを誘う。
事件現場の異様さがさらに気持ちを重くし、胸のあたりがどんよりとしたまま次の事件を見せられるのは落ち着かない恐怖でした。
あまりあっと驚かせるような恐怖はほとんどなくジワジワと浸食される恐怖というか気持ち悪さ(いい意味)ですね。

人間の無意識の悪意といい得て妙なキャッチ

この映画のキャッチコピーが

「あなたは最悪のラストを期待する」

よくある映画のキャッチで最後の5分だとか、どんでん返しだとか煽る作品は数多くありますが、この映画におけるキャッチとしてこれほど当てはまるものはないかと思います。
原作読んだ人はどういう意味か既に分かるのでしょうが。
あえて期待するという言葉は言葉通りだった。
作品性としてもその通りなんだよなぁ。
こればかりはいい得て妙、と言わざる負えない。
本当にぼくは鑑賞する準備をさせられていたのです。

原作からくるメッセージなんでしょうが
人の悪意をあますことなく魅せている作品です。
カエル男はいわゆるサイコパスですが、それは普通に人は理解出来ない自分なりに筋の通ったことをしている。自身に悪意はなくとも受け取る者からしたら悪意に他ならない。悪意と受け取った方が理解出来るんですね。
なんで悪意、となったところに常軌を逸した気味の悪さ、理解の出来ない領域になっていくのでしょう。

つまり、この世は悪意のない悪意が溢れている。

沢村刑事は頭がキレて後輩から慕われる優秀な刑事だが、家庭ではワーカホリックとも言える状態で妻・遥をないがしろにする。悪意はないが、それは確かに彼女を蝕み息子とともに家を出て行く結果となる。
物語ラストに登場するフリーライターなんていかにもですね。

そしてこの作品を観ている視聴者もまた悪意のない悪意を持つ。
それは先の最悪のラストを期待することだ。
映画だから、フィクションだからと思うでしょう。
それでも想像力豊かなぼくたちはカエル男の私刑(この場合行為そのもの)に少なからず共感を覚えたり、残酷なことでももしかしてと思わせる演出に期待する。最後はどんな酷い結末が待っているのだろう。そう期待する。

......既に悪意のない悪意を自覚しても良いだろう。
ぼくはそれが悪いとは言えないが、そういう人の内面を魅せている作品です。

恐怖感を追求した美術と演出

日本の映画は予算が少ないので警察だとか事件ものであってもドラマ性が重視されているものが多くて地味目なんですが、この映画は映画らしくドラマでは出来ないような美術や演出が施されていました。
そもそも主人公が刑事なだけで警察社会を見せているわけじゃないしね。

まずはカエル男のマスクは言わずもがな、ギョロっとした目で雨による水垢が残ったその姿は気味の悪いことこの上ない。

更に殺人現場のグロさといったらない、なんでこれがR指定されていないのか疑うレベルです。最初の殺人現場であるドッグフードの刑なんかは誰かも分からないほどの姿をしている上にコバエやウジが涌いた画は吐くのも無理はない現場です。

想像力をかき立てるのは母の痛みをしりましょうの刑は被害者拉致から犯行シーンまで色々思うこともあればおぞましさを想像させる恐怖の画。
はかりに積まれたモノは普段見るべきものではない状況から想像させる気持ち悪さ。

他にもカエル男の家はよく出来ている。
地下室から調理場、小道具まで凝った作りをしている。

特殊メイクというところでは先の事件現場もそうですが、
カエル男の素顔、妻夫木聡の顔のメイクもカエル男の特徴を作り込んでいました。

最後、必要あるか分からない回想と地味なカーチェイス。
回想に至っては始まってから、ん?と思わせる(いいつつ沢村高校時代は結局泣いた)
カーチェイスは車数台ぶっこわしてるな、これ。金かかってるわ、ホント。
劇場版MOZUのがいい使い方をしてるけどね。

オマケ程度だけどSCOOP!も良いカーチェイスだった。 

 

以上、書きなぐっては追記していたような文章でしたが、
作品性に関しては思った事が書けたので満足。
映画としては十分に見応えのある作品でした。

最後に原作とは違うラストとのことですが、
個人的には最後の引きは大好き
デスノートも少なからずこれあったけど、インセプションとか思わせぶりなラストが好きでしょうがないです。あまりそういうの観てないけどそういう作品のまとめ記事とか書きたい、そんな心境ですね。

 

「同僚に約束キャンセルされて放心からの4時間睡眠で目覚めてまたも放心しながら」
カミキユキ