猿の惑星に回帰する「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」を観てきました【感想・レビュー】

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とうとう三部目ですね、長かったなぁ...
全シリーズ観ている者からすれば楽しみでしたよ、ホント。

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猿と人類の全面戦争が始まってから2年が経ち、シーザー(アンディ・サーキス)が率いる猿の群れは、森の奥深くのとりでに姿を隠していた。ある日、奇襲によってシーザーの妻と息子の命が奪われる。シーザーは人類の軍隊のリーダーである大佐(ウディ・ハレルソン)に復讐するため、オランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)らと共に旅立つ。

- シネマトゥデイ -

猿の惑星リブート作品三部作の完結編
オリジナルの猿の惑星の前日潭として描かれた作品です。
ん?前日潭?と思ったのはぼくだけじゃないはず。
そもそもリブートなんだから関連性はないだろうと思っていたんですが
どうやらこの作品のラストがオリジナルに繋がるらしい。

宇宙飛行士が地球に帰ろうとしてトラブルでどこかの星に不時着
そこは人間並の知性をもった猿が支配する惑星だったというのがオリジナルの猿の惑星。そして人間は猿に飼われていました。1作目のラストは一気に謎が明かされる衝撃的な作品でした。
DVDパッケージだかがネタバレしているので要注意です。
ていうかその前日潭なんだから話しちゃうと、その猿の惑星ははるか未来の地球でしたってオチなんですよね。それを語るシーンはないものの、ワンカットあるだけで説明しちゃったんだから単純だけどすげーなと思います。
オリジナルシリーズは5作やっていますが、ぼくが生まれる以前の作品なんですよね。高校生の時観たので大体しか覚えてないです。

監督はマット・リーブス
代表作はクローバーフィールドかな。
猿の惑星は本作と前作の新世紀(ライジング)を監督。

猿のリーダー、シーザーアンディ・サーキス
姿はCGによるモーションキャプチャでの出演が多く、ロード・オブ・ザ・リングゴラムGODZILLA[2014]ではクレジットなしでゴジラ、そして猿の惑星:創世記よりシーザーを担当している。また昨今で実写出演としてはマーベルシネマティックユニバースでワカンダの武器商人ユリシーズ・クロウスターウォーズシリーズでファーストオーダーの最高指導者スノークを演じている。

バッド・エイプスティーヴ・ザーン
昨年公開されたはじまりへの旅デイヴダラス・バイヤーズクラブタッカーアーロと少年イナズマドカンなどで出演。
ちなみに吹替は柳沢慎吾

オランウータンのモーリスカリン・コノヴァル
名前から女性を連想したら..やっぱ女性でした。
ほぼ代表作品はリブート猿の惑星シリーズといってもいいですね。

ロケットテリー・ノタリー
この人、実はキングコング:髑髏島の巨神コングのモーションキャプチャで出演。
エイプは実はコングを演じていたとは。
また、ウォークラフトではペオン役を演じている(誰だっけ)

 

猿を殲滅しようとする人類を率いる大佐役にウディ・ハレルソン
ハンガーゲームシリーズではかつての勝者にして主人公達のサポーター、ヘイミッチ・アバーナシーを演じている。グランドイリュージョンではメリット・マッキニー。また、来年2018年公開予定のスターウォーズスピンオフシリーズ、Solo: A Star Wars Story(原題)ハン・ソロの師匠役で出演。

レッド・ドンキータイ・オルソン
新世紀のコバ率いる過激派の猿だったが、シーザーにコバを殺されたことをキッカケに人類に寝返っている
創世記では猿ではなく人間のジョン・ハミルを演じている。
また、GODZILLA[2014]ではモナークの科学者ジェインウェイ

 

 

 

 

 

 

 

 

猿達はキャッチーな姿のしか分からないので
見た目で分かるのをあげたのと人間は基本大佐が分かれば他はどうでもいいな、と思ったり...。

というわけで感想にいきます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猿の惑星に回帰する見事なシーザーサーガ

人間に育てられながらも猿の為に反抗したシーザーの物語
ここにして完結を迎えました。 
妻と息子を大佐に殺されたシーザーの復讐を機に動きだした人類と猿の決着。
オリジナル猿の惑星に繋がる要素もうまく散りばめてきました。
単純なその構図ではなく人間風刺を越えて人間という種の存続猿という種の存続、そして必要とされた人らしさ、必要としなかった人らしさ、といった猿の長であるシーザー人類の代表の一人として描かれる大佐がうまく対になった作品だったと思います。

考察を深めるとこれはすごい作品だな、と思うばかりです。

また猿の一団にいる少女の意味がかなり大きい。
彼女は病気で話す事のできない少女として登場します。
世話していた男をシーザーが殺してしまったことで連れて行くことになるわけですが、ぼくは彼女を何も疑いもしなかった。後半になって少し驚きましたね。
そしてこの映画で彼女の行動に唯一涙した気がします。
覚えてないけどもしかしたらラストでも泣いたかもしれない。

あまりアクションはありませんが、
人間と猿、互いへの恐怖と憎しみを越えて種の存続と人間らしさにフォーカスされたリブートシリーズで最後に持って来たな!と思える。
少なくともオリジナルからの猿の惑星ファンはぜひ観て欲しいですね!

もはや人間VS猿ではない生物としての尊厳を守る戦い

当初はシーザーが大佐によって妻と息子を殺されたことによる復讐。
そして人間はどうあがいても猿と戦う。
この元々地球を支配していた人類か、
賢くなり、人類となりかわろうとする猿か、
支配者を決める聖戦。

と誰しもが思っていたでしょう。
ぼくだってずっと思っていました。

しかし、違うんですね。
ここには地球の支配者たらん者の尊厳を守る戦いが含まれていきます。
その鍵を握るのが猿達が保護した女の子。
そして、それがオリジナルの猿の惑星に繋がる

ここで思うのはシーザーはシリーズを通しても一番人間臭い猿なんですね。
創世記では愛情ある人間に育てられたけど猿の扱いに困惑し
仲間達を助ける為に猿を進化させて逃亡を図る。
新世紀では分かり合えないなら別々に暮らすけど人間は基本殺さない主義。
聖戦記では家族を殺されたことによる復讐。
と、普通に人間が抱く感情からの行動。
シーザーだけは理性ではなく感情で行動する。勿論、猿のリーダーであることへの自覚はありましたが、仲間達を巻き込むまいと一人で行動していくことでそれが顕著になっていきます。

対して人類はある種本能的な生物としての本質に回帰します。
最初は進化する猿に恐怖し、恐怖故に猿インフルエンザ故に猿を殺そうとしますが、本作では人間は知性のある人間として種を残そうと躍起になっている。
感情ではない、理性が感情を殺し、人が人とたらんが為に猿どころか人も殺す。ここまで来ると人類に余裕はないのが見えてくる。
憎しみではない勧善懲悪の枠組みを越えた作品になっていますね。

最終的に猿側の何匹かも自分たち猿の尊厳を守る為に行動したのは感慨深い。
しかしてオリジナルでは人間の尊厳は踏みにじられますけどね。

もったいないのはアクション映画としては新世紀を越えられなかった。
というのも後半は見せ場はそこそこあるものの、
新世紀のシーザーVSコバのような戦いがないのが残念。

全体的に「生き残る」がテーマだったのかな

自分が生き残るのか、
種族が生き残るのか、
意思が生き残るのか
様々な回答があると思います。

結果的に生き残ったものは
実際にそれが残り続けるのか、というと
なかなか難しいですが...
(実際オリジナル猿の惑星では猿が完全に支配者ですし)

洋画リブート作品の中では成功した作品ではないしょうかね。

 

満足度:★★★★★☆☆☆(7/10)

何かしらでかいアクションがあればやっぱ良かった。