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現実と虚構をうまく取り合わせた実写化「美女と野獣(2017)」を観てきました【感想・レビュー】

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カミキユキ(@KamikiYuki)です。 
どうでもいいけど美女と野獣っていう邦題は素晴らしいと思うよ。
頭から読む日本人からしたら美女...
からの野獣だからね。
野獣からの美女というとなんか驚きに欠けるね、なんとなく。

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進歩的な考え方が原因で、閉鎖的な村人たちとなじめないことに悩む美女ベル(エマ・ワトソン)。ある日、彼女は野獣(ダン・スティーヴンス)と遭遇する。彼は魔女の呪いによって変身させられた王子で、魔女が置いていったバラの花びらが散ってしまう前に誰かを愛し、愛されなければ元の姿に戻ることができない身であった。その恐ろしい外見にたじろぎながらも、野獣に心惹かれていくベル。一方の野獣は……。

- シネマトゥデイ -

ディズニーの名作アニメーション。
美女と野獣がついに実写化。
観たはずなんだけど幼少期に観たので覚えてないんだな...
ということで初めて観る体で鑑賞してきました。

主演の美女ベル役はエマ・ワトソン
好奇心旺盛で閉塞的な街の人々から変わり者扱いされている少女を演じる。
ハリーポッターシリーズのハーマイオニー・グレンジャー役を成長期と共に演じた。
シリーズ後半は当時色々ハリポタ映画の子というレッテルに嫌気が差したんじゃないかなど話題になったがはたしてどうだったのだろうか。
昨年日本で公開されたチリクーデターを元に描かれたコロニアにも出演している。

野獣役のダン・スティーブンス
傲慢さが仇となり魔女に野獣へと姿を変えられた王子を演じる。
ナイト・ミュージアム/エジプト王の秘密ではランスロットクリミナル・ミッションノアを演じる。

ガストン役にルーク・エヴァンス
設定が少し変更され、猟師から軍人となり村の英雄扱い。
村娘の憧れでガサツな勘違い野郎なのは変わらず。
ハイ・ライズリチャード・ワイルダーホビットシリーズでバルドガール・オン・ザ・トレインスコットを演じる。

他、野獣の家来たちであるルミエールをユアン・マクレガー、コグスワースをイアン・マッケラン、ポット夫人をエマ・トンプソン、チップをネイサン・マック、マダム・ド・ガルドロープをオードラ・マクドナルド、マエストロ・ガデンツァをスタンリー・トゥッチ。
ベルの父親モーリスはケヴィン・クライン、ガストンの子分ル・フウをジョシュ・ギャットが演じる。
主要なキャストは結構多いですが少し省略させていただきました。

 

 

では、感想にいってみましょう。

 

 

 

実写化は成功!現実の延長に描き出した魔法の世界

閉ざされた街と常に雪の降る城。
昔観たであろう歌と魔法の世界。
この世界の映像はまさに魔法として機能しており
呪いで家財道具になった愉快な家来たちのもてなしや雪に覆われた城、ベルを取り巻く演出が全て空想の世界を思わせる魔法で満ちあふれている。
現実に拡張した仮想世界という位置づけだけでなく、
アニメーションから実写化した際に時代背景も
現実世界がありながら時が止まったような街と城は
確かに現実の延長(拡張)した世界に他ならなかった。

王子が野獣に変貌した逸話をどこか遠き地の物語かのように語られたあとはベルの住む村が登場、歌で狭い世界とベルについて語られる。
ここで重要な人物、父親モーリス、求婚を迫るガストンの登場で短い尺の中でベルの身の回りを説明していく...

 

ああ歌って便利!

 

個人的にはベルと野獣とガストンという3人がそれぞれ大きな柱になる存在と捉えていて、3人とも誰も理解してくれない孤独を抱えているキャラクターとして観ていました。
ベルも最初は野獣と相容れない様子でしたが思っていた人ではないという理解を元に歩み寄ることが出来ました。となると野獣と出会わなければ同じように変化しない街の中で外を見て来たガストンともどこか歩み寄ることが出来たのではないかと思えてしまう。
とは言っても、ガストンは時代が彼を慕うこともあったかもしれないけど勘違いしたカッコ良さとかクズ野郎っぷりを出してくれたことで分かりやすいヴィランとして立ち回った。
ガストンに従えるル・フウなんかそれに対して愛嬌を感じるキャラクターになっていたので気分悪く観ることもなく楽しむことが出来たのもポイントかと。

また城の家来である家財道具たちもユニークなキャラクターになっており
ルミエールコグスワースポット婦人たちの従来のキャラクターの他に洋服ダンスのマダム・ド・ガルドロープの夫としてマエストロ・ガデンツァなどよりキャラクターに深みを増してくれる要素を追加しているのは良いアレンジだと思います。
最終的に呪いがどうなるのか、というところも一度衝撃的な展開を魅せてからの流れは良かった、結末分かっていながらここは涙した。というのも家来同士の関係性以上にそれぞれ恋人同士や夫婦、親子といった様々な関係性の喪失を思わせるシーンだったので一気に涙腺緩みましたね。

これはもう実写に重ねたアニメーション作品

技術の進化ってすごいと思うよ。
村は実写の印象でしかないけど、城の中の呪いで食器や家具になった家来達は完全にCG。他にはベル役のエマ野獣役のダンのみ。
正確には野獣の顔はモーションキャプチャーで改めて撮影して加工したもので、実質ほぼ加工されていないのはエマだけということに。とはいえ、モーションキャプチャーで表情を撮影してそれを加工しているということはベースはあくまでダンの顔であるということ。
家財道具の家来たちもベースはキャスティングされた彼らを元にCG加工されているので改めて技術の進化に驚くばかり。アバターやこのブログでもレビューを書いたガルム・ウォーズ、ゴースト・イン・ザ・シェルもそうだけどこれはもう物質世界に仮想世界を重ねたものと言っても過言ではない。アニメーションは全てが仮想の世界だけど、この作品も割合的には仮想世界のが大きいんじゃないか。

実写化は現実世界に仮想世界を受け入れることである。

アニメーションから実写化した時に時代背景が追加されている。
モーリスが発明家から芸術家に変更されている点もあるが、
この家族はフランス・パリから移住してきたことになっている。
そもそもアニメでは実在する土地名が出てきていなかった
そしてこの街は時が進むパリの情景に反して、時が止まっているような印象を受ける。王子以下城の呪いを受けていない者たちは彼らのことを忘れているにも関わらず城に関連する者がいるということは実際にはそこまで時は経っていない。しかしベルたちがいた時間だけ呪いが進んでいた事実は残る。

またベルたちが訪れたことで時が進み出したとも捉えられる。
ベルは結果的に王子と真実の愛に辿り着き呪いを解くわけだが、
それまでに閉ざされた時が止まった街に新しい息吹を吹き込んでいる。
彼らがいなければどんなにパリで新しい風が吹こうとも街は図書館の本は増えず、流行も人の好みも古い慣習も疑問視されず何も変わらなかった。
事実、ベルは朝出かけると住人たちは決まってある場所で出会い、ある場所で同じ行動をしていた、それが当たり前かのように。
トゥルーマン・ショーワンス・アポン・ア・タイムを想起しますね。

ぼくらが住まうこの現実世界において
毎日が同じことの繰り返し変わらない閉じた世界が存在する。
それは何度も語られる物語であり不変である。
今回紙の上の物語を物質世界に変換することを現実世界に仮想世界を受け入れたと同義にしようとした作品ではないかと思うわけです。

 

 

 

今回の作品で興味深かったのは仮想を現実の地続きに時を止めて定着しながら、物語を進める毎に現実に馴染ませて来たこと、視覚的には現実に仮想世界を拡張していくというなんとなく意図を感じる作品だった。
なんだよ純粋にラブストーリーを楽しめなかったのか?
といえばそうじゃなくて、野獣とベルの惹かれ合う流れもちょっと甘酸っぱかった(ような)気がするし、個人的にはそれよりも家来やそれに連なる家族愛のが響いたかな。そういう意味ではベルの父親モーリスのエピソードは良かった。

かなりオススメです。
GWには一度でもご覧になってください...と言いたかった。
ぼくも字幕と言わず吹替もちょっと観たくなっています。 

 

 満足度:★★★★★☆☆(8/10)