たった7日間の年号を巡る事件「64-ロクヨン-前編」を観てきました。【感想・レビュー】
カミキユキ(@KamikiYuki)です。
ゴールデンウィークも本格的に終わり、いかがお過ごしでしょうか。
過ごすも何も学校や仕事が始まって憂鬱なことでしょう。
ぼくも今日から仕事が始まると思うと...
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わずか7日で終わった昭和64年。その年に起きた少女誘拐殺人事件、“ロクヨン”から14年が経過し、未解決のまま時効が近づいていた。そのロクヨンの捜査に携っていた警務部秘書課広報室の広報官・三上義信(佐藤浩市)は、記者クラブとの不和、刑事部と警務部のあつれき、ロクヨンを模倣したような誘拐事件に直面し……。
-シネマトゥデイ-
半落ちやクライマーズ・ハイの横山秀夫が執筆した原作小説を元に製作。
佐藤浩市主演、綾野剛や榮倉奈々共演の本作。
メインビジュアルにもある通り他にも多数のキャスト陣が出演。
本作は昨年2015年にピエール瀧主演でドラマ化されています。未視聴です。
個人的に予告編を観て佐藤浩市演じる三上という警務部広報官。
「子どもがいなくなる、それがどういうことか、刑事はそんなことも分からないのか!」
彼のセリフがちょっと響いたので鑑賞しようと思った次第であります。
最近実話ベースの映画をご紹介することが多いですが
こちらはフィクションです。
正確にはこの誘拐事件は過去のある事件をモデルにしているみたいですが
昭和64年の7日間というわけではありません。
ただし未解決事件であり、それとの共通点は多くあるそうです。
この作品2部作とのことで、今回は前編。
前編後編とある作品は最近でいうとちはやふるが上の句・下の句でやってます。
また以前レビューしたソロモンの偽証も事件編と裁判編で2部作でした。
このレビューを書いたあと、この2部作形式は不評も確認しました。
個人的にこちらは上手く分けたなと思ったところ。
あとあと振り返ると裁判編のボリュームが足りない感じがしないこともない。
とにもかくにもこの「63-ロクヨン-」は分けたことでどうなのか
気になるところです。
記者クラブとの対立
舞台は平成14年。
昭和64年の事件より14年後、刑事時効まであと1年というところから始まります。
前編は主に広報官が警察の窓として記者クラブに情報を開示する場での対立。
県警が事故の加害者の情報を匿名としたことで記者たちが開示を求めます。
広報官である三上(佐藤浩市)はお上の意向が匿名としたことと、
自身の基準で匿名と判断してあくまで開示しないとしていました。
そこに時効まで1年という名目で警察庁長官のロクヨン事件視察が舞い込み
秋川(瑛太)を中心とする記者クラブは取材をボイコットするという展開になります。
お上と、対応する記者クラブ、対立する刑事部の三者に板挟みとなる三上は追いつめられ、広報室の諏訪(綾野剛)や美雲(榮倉奈々)は記者クラブが仲を取り持ちます。
三上は同時に警察内部の情報収集とロクヨン事件被害者を始めたとした関係者を回っていきます。
更に三上自身には娘が行方不明になっている問題も起こっており
三上自身の人との関わり方を描いたものとなっています。
様々な立場の人間ドラマ
前編は事件らしい事件を扱った話ではありません。
主に三上のいる広報室と記者クラブの対立、
広報室のある警務部と刑事部の対立、
県警の警察官とキャリアを据えようとする中央との対立、
それぞれの人間関係を扱った人間ドラマです。
そして三上はかつて所属していた刑事部への復帰を望み、
警務部部長は県警から本部へのキャリアアップを望み、
記者クラブの若手たちは本社へのキャリアアップを望む。
それぞれが目的の為に点数稼ぎに奔走している、という構図もあります。
またお上である中央は県警に自分たちの息のかかるキャリアを据えたい。
そんな思惑もあり、各人の立場で見ていくと色々ドラマがあります。
それぞれの思惑は
あちらが立てばこちらが立たない状況で広報を揺れ動かします。
匿名問題とロクヨン事件が絡み合って複雑な状況です。
更にロクヨン事件の関係者、
被害者や当時事件に関わっていた現職警察官、辞めてしまった警察官が登場。
それを洗っていくうちに当時の隠蔽疑惑が浮上します。
前編ではその問題が収束していくところまで描かれます。
佐藤浩市吠える
紹介した通り各人のドラマを見ていくのも面白いですが
前編という120分としてうまくまとまっているし、後編への引きも良かったです。
内容としては事件性のあるものがないのですが、それぞれの立場のぶつかり合いがいいですね。正確には三上が各立場に吠えたり泣いたり感情的になっているのが多いですけども。
佐藤浩市の感情的なシーンがよく響く作品でしたね。
推理ものだとかサスペンスものと捉えるより純粋に人間ドラマに尽きる作品です。
昭和64年と平成14年どちらも登場するキャラクターがいることから
見覚えのあるキャストや特徴のある人物を据える事で
どんな立場の人か分かりやすいものとなっていました。
特に昭和64年のあのシーンにいた人が三上の妻か、とか
そんな映像で説明されるシーンが多いです。
秋川の美雲に対する視線とかどんな関係なの?と想像させました。
後編は6月11日公開
さて、後編ですが広報を取り巻く一悶着が収束したあと
ある事件が発生します。
しかし、実際の警察がここまで無茶をしますかね、という展開です。
ここからはロクヨン事件と現在の事件が絡み合った展開が予想出来ます。
また、記者クラブとの対立はどこへ向けられるのか?
秋川の噛み付きが楽しみです。
そして三上のあのセリフは後編のお楽しみのようです。