SNSは演劇?就活生の恐ろしいリアルを振り返る「何者」を観てきました【一言ネタバレ・感想・レビュー】

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カミキユキ(@KamikiYuki)です。
今月3本目も邦画、実はこれ試写会当たってました。
...仕事で行けなくなったので断念しました、つらたん。

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就職活動の情報交換のため集まった大学生の拓人(佐藤健)、光太郎(菅田将暉)、瑞月(有村架純)、理香(二階堂ふみ)、隆良(岡田将生)。海外ボランティアの経験や業界の人脈などさまざまな手段を用いて、就活に臨んでいた。自分が何者かを模索する彼らはそれぞれの思いや悩みをSNSで発信するが、いつしか互いに嫌悪感や苛立ちを覚えるようになる。そしてついに内定を決めた人物が出てくると、抑えられていた嫉妬や本音が噴きだし……。

- シネマトゥデイ - 

桐島、部活やめるってよ朝井リョウ原作。
就職活動をする若者5人が集まり、対策を練っていく。
キャストも主題歌も20代をターゲットとも思わせる作品。

監督はボーイズ・オン・ザ・ラン愛の渦三浦大輔
過去作は観てないですけど、これまでも若者を主題とした作品を手がけているようです。内容的にはあまり爽やかな青春ものとは異なるようですね。

先の朝井リョウはどちらかというと爽やか?
桐島、部活やめるってよは学校の人気者でバレー部のエースだった桐島が退部届を出したことで桐島の彼女や親友、バレー部員、はたまた直接接点のない映画部や吹奏楽部などの生徒が影響を受けていく群像劇。
桐島自身はタイトルにいるのに劇中ではほぼ登場しないという異色作。
青々しさを感じる青春ものというのが適切かな。

主題歌はPerfumeきゃりーぱみゅぱみゅをプロデュースし、自身もCAPSULEとして音楽活動をしている中田ヤスタカ
ニコニコ動画でハチ名義でvocaloid楽曲を制作し、本名でシンガーソングライターとして活動している米津玄師featuringで参加したnanimono

二宮拓人(佐藤健)

冷静分析系男子
大学では演劇サークルで脚本を兼ねて活動していた。
また光太郎とルームシェアをしている。
瑞月に好意を寄せている。

バクマン。以来か。
いや、世界から猫が消えたなら以来です。
こちらでは余命宣告された優柔不断な青年青年瓜二つの悪魔を名乗る人物を演じています。最近多い大人しめなキャラと意地悪なキャラを演じ分けていました。

最近ソフトバンクのCMで速過ぎて存在感のない白い犬のお父さんの息子
なぜか上戸彩のお兄さん役。

田名部瑞月(有村架純)

地道素直系女子
海外留学が帰ってきて就職活動を始める。

僕だけがいない街以来か。

小早川里香(二階堂ふみ)

意識高い系女子
瑞月の友人で拓人の部屋の上の階に住んでいる。
就職活動に積極的でアピールが強い。

SCOOP!で色っぽいシーンから一気にフレッシュになった。

神谷光太郎(菅田将暉)

天真爛漫系男子
バンドサークルで活動していたが就活を機に引退。
瑞月とは過去付き合っていた。

デスノートや溺れるナイフが控えていますが、
それ以上にau三太郎の鬼しか出てこない。

宮本隆良(岡田将生)

空想クリエイター系男子
里香の彼氏で同棲している。
5人の中で就活というシステムに疑問を持っており、
個の力で社会に関わって行こうとする。

最近でいうとドラマから映画で登場したST以来か。
いや、ストレイヤーズクロニクルで出てたな。

今後銀魂とジョジョの実写版でキャスティングされています。
なんだかんだ少年フィクションにはよくいる人物。

サワ先輩(山田孝之)

達観先輩系男子
拓人の演劇部の先輩であり、理系の院生。
何かと拓人に世話をやく。

大学生以上ならまだ何やってもいけそう。
でもウシジマくんや新宿スワン観てると怪しさ満点のアウトロー
TGSではこっそり来ていたそうですが、とうとう今回はバレました。 


 

 

もう感想いっちゃいたいと思います。

 

これはオチのない中身を見いだす物語であり映画である。

あらかじめ言っておくと人を選ぶ映画ですね。
原作は読んでいないのであえて映画としてお話ししますが
就職、恋愛、友情、裏切り...学生と社会人の狭間にいる若者の苦悩に何か当てはまった人がハマる作品ではないかと思います。
そういう意味で社会人となってしまったぼくは

何かとハマる作品だった。

そう結論づけます。
もちろん彼らみたいに個性的な5人が集まって就活対策本部!
なんて状況はなかったですよ、野郎ばかりでしたし。

5人の中で当てはまるのは隆良かな。
空想クリエイター系という社会に揉まれたくない感がさ。
そこに拓人なのかな、一面一面で見ていくと色んな人の面が近いとも思えました。

とにかくオチなんて知らないし。
過程も結果もさらけ出してしまえと言わんばかりの作品。
これが群像劇だったからこそ誰か目線に立てる作品です。

リアルな人物像と人間関係

とにかく状況がリアル
就職活動あるあるで、合同説明会にいく時の感覚や、
就活アピールしている意識高い系とか、仲間内に真っ先に内定とったら話すのか隠して就職活動を続けるのかみたいな自分がやってたかもしれないし、友達がそうだったかもしれないリアルを感じました。
また、SNSの利用もあるあるみたいですよね。
とはいえ、ぼくら世代は本名明かして使う人は少ないのでもっと若い世代向けなのかな?更にいえば、断りもなく知人の写った画像を載せないでしょ!
あるあるいいつつ、ここで違うなーて気分。

そういう意味では拓人が一番近い気もしますね。
客観的なことしかSNSではつぶやかないし、就活生の先輩みたいな状態で周りには何かと尊敬や嫌悪を受けながらも結果に結びつかず、何にもなれる気がするのに何にもなれていない、そんな感じ。
あと終盤手前の光太郎のセリフが印象的です。
「俺は就職活動が得意だっただけ」
これ、就活というシステムを受け入れながらどこか皮肉ってる。
自分は出来たよ、すごいでしょと思わせられてるセリフだけどどこか悲しいですね。でもぼくも真理だと思うよ。

また5人ないし6人、7人がメインの群像劇なので
鑑賞しているぼくたちは誰かに感情移入したり親近感が湧く。
それが友達かもしれない。
それを俯瞰的に観ると周りの言動をなんとなく感じることが出来ます。

互いの就活方法論や恋愛観、友情論がチラついて
それが認めたくない価値観だったりすると密かに嫌悪して次第にドロドロとした関係に進んで行きます。素直だったのは瑞月と隆良だけだったよな。真っ向から話せる二人だけはすげーなと思った。ぶつかりたくないけど友達に欲しい。

演劇やSNSの特徴が見せた演出

この作品の特徴は各人がSNSを利用していてそれも人それぞれであること。
就職活動でいえば、全く自分のことを話さず上っ面だけつぶやく人もいれば、自分の心境や状況包み化さず話す人、自分はこんだけ頑張ってますよ!という人、自分の考えを話す人もいれば、他人の言葉を借りて話す人、そもそもやってない人など
SNSでいえば誰かしら当てはまるのではないでしょうか。
そんな面と向かって話さないことが裏では話されていて、SNSだから誰か見てるかもしれないし見てないかもしれない。

もう一つは演劇という要素。
拓人とサワ先輩は演劇サークルで活動していましたが、その要素が映画全体に関わっている点。これは最終的に衝撃ホラー?なラストに繋がります。
拓人と共に演劇をしていた烏丸ギンジの劇団、毒とビスケットの演劇が劇中の間に挟み込まれる。内容もそのシーンにリンクする内容で面白い演出だなぁと思ったり。
そもそも原作では演劇という要素はそこまで強調されていないそうです。しかし、三浦監督演劇の枠がTwitterの窓に見えたことから映像の演出に使用する為に大きく扱ったとパンフレットで語っています。
原作は原作でSNSの表現の見せ方が面白いそうなのでぜひ原作を読んでみたい。
もっというとラストは原作通りではなく、映画だからこういう締めにしたとも言っています。

結局、何者になれたのか

この作品楽しんで見てもらう為にこの一言だけネタバレします。
いいですか、これだけは前提で見て欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オチはありません。

 

 

 

ここまで強調してると先ほどから言ってることは余程なんだなと思うでしょう。
正確にはオチがないワケじゃないですんけど。
大筋に明確な答えを求める人は結局なんだったのかと思う作品です。
事実同じシアターで観た人の大半の感想は辛口でした。
大体大学生や若い社会人が多かったと思いますが、
中には中高生がいるんです、分かるのかな、この感覚。
大半はキャスト目当てなんだろな...。

桐島、部活やめるってよスクールカーストを描いていたわけですが、
こちらも人気者の行動が学校全体を振り回したことと
結局何事もない明日に続いてしまう真理、結局なんだったのかと思わせる作品だったと思います。これらの言葉が正しいか分かりませんが共通項はあります。

サワ先輩が言った
「お前こそもっと想像力のあるやつだと思ってたよ」
この作品は鑑賞者に想像力を求めている、劇中を見つめ直す、自分を見つめ直すことで答えを出して欲しい作品なんですね。そこから自分は何者かになれたか、という答えにいきつくはずです。

 

 

 

というぼくも何者か答えを出せずにいます。