シドニアの騎士原作のデビュー作ついに映画化「BLAME!」を観てきました【感想・レビュー】
カミキユキ(@KamikiYuki)です。
正直そこまで人は多くないと思ってたこの作品。
上映場所が少なすぎてですね...。
そして投稿が遅過ぎましてね。
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ネット文明が極度に発達した世界。巨大な階層都市は増殖し続け、人類は防衛システム“セーフガード”に駆除・抹殺される存在になっていた。“電基漁師”の村人たちを救うべく、食糧を求めて旅に出た少女・づるだったが監視塔に見つかり、仲間を殺されてしまう。逃げる手段を失い追い込まれたづるの前に現れたのは、探索者の霧亥だった。
- シネマトゥデイ -
超巨大構造建築物の作画や設定などが特徴の漫画家、鬼才弐瓶勉原作。
最近では宇宙に新天地を求め旅立った人類が奇居子(がうな)と呼ばれる未知の生命体との戦うを描くシドニアの騎士がアニメ化しました。
本作はどこともしれない空も見えない巨大な都市が舞台。
人類は都市の機械から不法住居者として殺される世界です。
人々はその機械たちーセーフガードに怯えながら暮らしています。
霧亥(CV:櫻井孝宏)
ネットスフィアにアクセス可能な「ネット端末遺伝子」を持つ人間を探し求める探求者。人間と名乗っているが体はサイボーグ化されている。
重力子放射線射出装置という貫通力を持つ銃を持っている。
シボ(CV:花澤香菜)
かつて栄えた塊都という街の科学者。
ネット端末遺伝子の代わりとなる「偽装端末」を開発する知識を持つ。
づる(CV:雨宮天)
電気猟師たちが住む村の少女。
若いが電気猟師の才能があり、頭領にも一目置かれている。
おやっさん(CV:山路和弘)
電気猟師の村の頭領。
祖先はプランターと呼ばれていたがセーフガードの影響を受けない場所にたどり着きそれ以来そこに住み着いた。
捨造(CV:宮野真守)
電気猟師の若頭。
タエ(CV:州崎綾)
電気猟師でづるの親友。
病気の妹の為に狩りに出る。
フサタ(CV:島崎信長)
電気猟師。
タエに想いを寄せる。
キャラクター紹介は簡素な方がいいですね。
詳しく書くとストーリー語ってしまうもの。
では感想にいきましょう。
荒廃した未来ディストピアを描く。
機械と迫害された人間達の戦いを描いた本作、
戦闘シーンは重低音響きながらもスピード感のあるアクション、派手な攻撃、襲ってくるセーフガードの多脚で走ってくる気持ち悪さと恐怖からくる絶望感は見事。
また人間ドラマも見所の一つで
食糧を求めて狩りに行きながらもセーフガードの来ない地に逃げ込んで細々と食いつなぎ餓死寸前に追い込まれた人々。霧亥や機械の身体を持つシボが都市を人間の手に取り戻す行動に出ても外から来た者ゆえに迂闊に信用出来ない。村全体がついていくと決めながらも一人一人は色んな思いでいる。
あと世界観の説明が丁寧ですね、映画的とまでは言わないけども冒頭でこの世界がどういう状況にあってづるたちがどうしているのかというのを彼らの会話から大体理解できていく感じ。このあたりはおそらく原作のマンガも同様な状況説明をしていると思われます。そしてそのセーフガードに追われる日常をぶち壊してくれる霧亥の登場で物語がスタートします。
とにかくモノローグは排しての説明でしたので徐々に世界を理解して物語に入り込んでいったような感じです。
なにより霧亥の持つ銃がセーフガードをまとめて倒してしまうインパクトがいいです。
シドニアの騎士のPVを見た時も思いましたが3DCGアニメはどうも無機質に見えて敬遠していましたが、表情の動きなど見ていると2Dと変わりないように思えます。SF独特の未来の技術っぽい服装や構造物がより無機質さを醸し出しているような気がしますが、キャラクターの表情を見ているとたまに自然なんじゃないかってくらいのギャップを感じる時がありますね。
そして何より音響の拘りがすごいです。
金属音は特にそう思う、猟師の装備の状態で高いところから飛び降りた時の着地音はリアルに重低音がするし、セーフガードの地を這う音は不気味なんだけど心地よく響く。まさに映画館で観て欲しいと思う内容です。音響装置に拘りのある劇場公開があるのも肯ける。(※基本2週間限定というところが多いので遅れて公開するところにはオススメします)
映画1本分に見事に収めたんだろうけど...
正直別に悪いことないんですよ。
この内容をよく100分程度の尺に収めたな、と思うわけで。
それは勿論、新訳BLAME!と呼ばれる改変作なんですね。
そうでありながら弐瓶勉本人は総監修という立場で劇中のあらゆるディテールを原作に寄せている反面、物語は霧亥が中心だけど視点はづるで感情移入しやすいところをポイントにしている。
ただ勿体ないのは主要メンバーの心情があまり読めないこと。
特にづるは物語上語り部的ポジションなのに何故霧亥に惹かれたかがよく分からない。要素としては分からなくもないけど突拍子もないし、捨造が嫉妬するのもそもそもお前らどんな関係なの?と思うばかり。
霧亥の心情はあえて読めないキャラクターになっているんだと思います。必要以上に話さないし、行動指針も「ネット端末遺伝子を持つ人間を探している」だけ。
シボも科学者で同じように都市を人間の手に取り戻す目的の為に研究していたとはあるけどあまり人間に傾倒しているような状態は読めない。最終的にどうだったかは分かるけど謎だな。
シドニアの騎士を楽しめた人ならちょっと注目してほしい。
実はシドニアの騎士アニメ本編で「BLAME!映画化」というCMがある。
当時はパロディとして入れていたのであろうが、同作の監督も務める。
多分、この時点で狙ってたんだろうなー
また弐瓶勉作品はいくつかの用語がおそらくスターシステムで使われている。
東亜重工やエナなど用語自体が様々な作品に登場。
BLAME!に関しては劇場版に限ってはそこまで登場していませんが。
用語のみならずなんとなく概念が近しいものとして描かれているのも特徴。
現在連載されている弐瓶勉作品の「人形の国」も同様です。
この作品実はNetflixでも配信中です。
とはいえ、画質の相談もあるよなーHD画質でも足りない気がします。
こればかりは画質も音圧も含めて劇場へ。
広島県でも福山市までいけば音響の良いところでやるみたいなので行ってみたい。
満足度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)