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アナタの組織にも歪んではいないか?「日本で一番悪い奴ら」を観てきました【感想・レビュー】

映画 映画-邦画 劇場鑑賞 レビュー

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カミキユキ(@KamikiYuki)です。
ここまで観てると綾野剛ファンなんじゃないかって思います。
そして実話ベース映画大好きなんじゃないかって思います。
今回は「日本で一番悪い奴ら」をご紹介します。

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柔道で鍛えた力を買われて、北海道警察の刑事になった諸星要一(綾野剛)。裏社会に入り込んでS(スパイ)をつくれという、敏腕刑事・村井の助言に従い、Sを率いて「正義の味方、悪を絶つ」の信念のもと規格外の捜査に乗り出す。こうして危険な捜査を続けていった諸星だったが……。
- シネマトゥデイ -

日本警察最大の不祥事と言われている稲葉事件をモチーフに
製作されたノンフィクション。
北海道警察の諸星が歪んだ正義を暴走させて
ヤクザなどにS=スパイを作り違法捜査を行っていくお話です。

冒頭で実際の事件を元に作られたフィクションとありますが、
元警察関係者からするとかなりリアルに作られているといいます。

フィクションと表現しているのは実際の警官の名が違うことにあるのでしょう。
また映画というエンターテイメントだと脚色もあります。
(脚色程度だとノンフィクションでそこそこまかりとおるわけで)

綾野剛が主演

新宿スワンをはじめ、様々な映画・ドラマで主演を務めていました。

映像化不可能と言われた風刺映画「天空の蜂」をやっと観た【レビュー・感想】

仮面ライダーキャスト映画と呼ばれるほど平成ライダーキャストが出演する。
社会風刺の強い作風のため、映像化不可能と言われた作品。
綾野剛は同作では原発被害者の友人として重要な役柄を演じる。

たった7日間の年号を巡る事件「64-ロクヨン-前編」を観てきました。【感想・レビュー】

昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件に取り残された警察、関係者の物語。
こちらでは主演佐藤浩市が演じる広報官を補佐する広報室の一員として登場。

女をアゲて男をあげろ「新宿スワン」をやっと観た - 好きなことが活きていく

綾野剛の代表作の一つ。
新宿歌舞伎町を縄張りとする水商売・風俗などのスカウトマンを描く作品。
主演として喧嘩っ早いが根はいい新人スカウトマンを演じる。

白石和彌監督は前作「凶悪」を製作しています。
死刑囚の告白により、かつて先生と呼ばれた男とそれに関わる事件を調べていく雑誌記者が次第に取り付かれように取材していくノンフィクションサスペンス。過激な暴力シーンと気味の悪さが強調されたなんとも胸くそ悪い系映画(褒めてる)

同様に実話を元に製作された本作品の期待値も高いというものです。

稲葉事件とは

稲葉事件(いなばじけん)は、2002年7月に北海道警察の生活安全特別捜査隊班長である稲葉 圭昭(いなば よしあき)警部(当時)が覚せい剤取締法違反容疑と銃砲刀剣所持等取締法違反容疑で逮捕、有罪判決を受けた事件である。
- Wikipedia 稲葉事件 より -

その後に稲葉圭昭著「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」が発行。
この内容を元に本作は製作されています。
タイトルに関しては織川隆の「北海道警察 日本で一番悪い奴ら」が元。

当時警察で当たり前にように行われていた拳銃の買い取りによる検挙。

「銃刀法を改正することで、警察官による密売人からの拳銃の買い取りを合法化する法案が、国会で通過しました。銃器対策課の専従捜査員は、密売人から拳銃を買い取り捜査せよという指示命令が出され、現場担当はこれを真面目にやっていた。このことが明るみに出てくると、現場担当の個人責任として担当のみを切り離し、警察組織を守るための『組織防衛』として、幕引きを計りました。どの県警本部でも同じことが行われていました」
-記事 元警察関係者のコメントより引用-

 

新たな綾野剛の代表作品ここに!

鑑賞してみて思ったのが「これは綾野剛の代表作だ」ということ。
キャストでありがちな「この人はこういう役柄というイメージ」という型がない演技の幅が彼の特徴であり挑戦していく意思の現れだと思うんですね。
新宿スワンでは喧嘩はするし口は悪い、だけど心優しい青年という一面がありました。 ロクヨンでは広報官を目指す真面目な記者クラブとの調停者など全く性格の異なる役柄を演じています。

本作においては口では悪を討つ正義の味方と言いつつも、
その為に違法捜査をして成果をあげて点数稼ぎ、
落として上げることで自身の行為を正当化する刑事を演じています。

この作品で綾野剛のすごいところ
諸星要一という人物の長きに渡る立場や性格の変遷をうまく表現していこと。
当初は柔道が得意なだけの要領の得ないクソ真面目な青年だったのが
先輩のアドバイスで裏社会に飛び込み、ダレ降り構わず自分を売り込み、時には暴力もいとわない人物に変身。
演出として良いと思ったのはこのシーン。
下戸でタバコも吸えない諸星が初めてタバコを買ってむせながら吸うんですけど、
ススキノを色んな人に声をかけられながら練り歩きます。
ここで一通り歩くとカットが切り替わる直前には
普通にタバコが吸えるようになってるんですね。

その後も時代によって衣装が変化していきますが、
どんどん近寄りがたい人物へと変わっていきます。
彼の歪んだ正義はいつしかそれが当たり前のようになっていきます。

R15+作品です、注意してください

R15+にしてでも挑戦したい作品なんですね。
以前デッドプールはお下劣なので絶対要因はエロ方面でなんだと思っていました。 
と思ったら結構暴力シーンというか残虐的なシーンが強めでしたね。

日本で一番悪い奴らはというと
警察とヤクザとチンピラと...暴力シーンだと思うじゃないですか
むしろ濡れ場が目に留まり過ぎでしたね。
身体を見せる女優さんも挑戦的ですけど、
それに対して身体を張る綾野剛も綾野剛だよ!
女優さんも調べてみるとそこまで無名じゃないんですね...

もちろん過激な暴力シーンがないわけでもないので
気になる方は注意してご覧ください。
暴力シーンなら「凶悪」の方が痛々しくて観てられないです。

個性豊かなSたち

諸星を助けるS=スパイたちもキャラが立った人ばかりです。
これ、ノンフィクションなんだよね?もしかしてこのあたりのキャラ立ちは脚色なんでしょうか...

中村獅童演じる暴力団幹部は諸星と兄弟盃を交わすほどの息の合う仲になりますが、
あまり本心の読めない人物。
YOUNG DAIS演じるヤクの運び屋は諸星の舎弟として
献身的に付き合っていく仲でいかにも舎弟!
といった雰囲気を出した人の良い人物を演じています。
植野行雄(デニス)演じる盗難車のバイヤーはパキスタン人で片言の日本語を話し、
やることなすことコミカルなキャラクターなので面白いです。
そんなキャストの役職から観ると
歌舞伎役者、アーティスト、お笑い芸人とごった煮にも程があるメンツ。

更には悪の道へ誘う先輩刑事ピエール瀧が演じます。
彼は「凶悪」でも怪演していましたので折り紙つきですね。

他にも違法捜査を容認する北海道警察上層部の面々含めて
彼らが悪い奴らなのです。

警察の不祥事を糾弾した作品ではない?

本作は日本警察の不祥事を扱った作品ですが、
何も警察に文句いうだけの作品ではありません。
諸星は救いようのない行動を起こした人物として取り上げられますが
「これをやってはダメ」「薬をやったらムショに行かないと治らない」
といった抑制する考え方を持っています。
更に彼らの最後はざまぁみろ!といった終わりじゃないんだなー

そういう意味で美化してない?と思われかねない感じもあります。
となると何も警察への糾弾が目的ではない。

警察はこの時期、拳銃の取り締まりに密売人から買い取ることを当たり前としてきた。それをすることで国内の拳銃は世に出回る量が減るし、海外から買い取るにもいずれ流れてくる拳銃を将来的に減らした、といいます。
でも、それって手段が目的になっているばかりか、
ただの点数稼ぎに過ぎないんですね。
そんな歪みがいつしか組織を当たり前にさせていないか、
というのがテーマだと思うんです。

そんな組織は警察に限らないんじゃない?
ぜひこの作品を鑑賞したあと、
今一度自分の身の回りの当たり前を振り返ってみたらどうでしょう。

アナタの組織も歪んでいませんか?